「仙台石」とも呼ばれ、全国にその名を馳せてきた名石「稲井石」。 その歴史は古く、文永五年(西暦1268年)に建てられた宮城県河北町の板碑に使われているのが確認されています。 石質はくろくどっしりと重厚感があり、美しい石目が特徴で、文字を刻むと鮮明な白が浮かび上がることから、明治以降各地の記念碑、墓碑に数多く利用されてきました。 東京の立憲記念碑、仙台の瑞宝殿、亀岡八幡宮、塩竈神社、松島の瑞巌寺の石碑など、いまでも日本各地でみることができ、遠くサイパン島にある旧日本軍の慰霊碑にも稲井石が使われています。墓石界では“至高の石”と称され、山形の文人斎藤茂吉が「父のために」と墓標の石を稲井に求めにきたという逸話も残されています。
モースコードで計る硬度は7と硬く折れにくい材質の為、普通の石では出来ない長い一本モノの石の柱ができる世界でも稀な石です。
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強度のある稲井石は記念碑・敷石・護岸・石橋・鳥居などに使われることが多いです。
傷がつき易い石でもあるため、割肌やビシャン仕上げで使われる事が多いです。 人が歩く事によって石の表面が減っていき、より味わい深くなります。
神社の敷石の事例です。
※石を湾曲加工し階段部分に使用しております。
石の性質上、石橋は平らな橋になります。
たわむが折れにくく硬い石材は8センチで4t車が上を通ってもびくともしません。
※上の写真は24cmで10t車も通れるほどです。
庭園などに設置することで味わいのある雰囲気を演出できるかと思います。
折れにくい石柱は立てて使うことで記念碑や鳥居などとして利用することができます。
長い年月、天日にさらされる事で木目がより一層味わい深くなります。
※長さ8メートルの記念碑として使用された実績もあります。
人がよく訪れる観光地の護岸に稲井石はよく似合います。
勿論、水成岩は水への耐久性が強く、頑丈です。
よく、取引会社さんから「ヨコの天然はないの?」と質問される事があります。
稲井石のヨコは「※ノミ切り加工」という独特の加工を施します。
ノミ切り加工をする理由、ヨコの天然が出来ない理由はこちらの写真をご覧下さい。 原石を採掘した石でも、割れ方・割れる方向がバラバラで石の目の通りに割れないという特徴があります。
こぐちも同様です。 この写真の様にドリルで細かく割っていかなければ、割り箸を折った様になってしまいます。
このような石の特徴から稲井石は「ノミ切り加工」という技術でヨコやこぐちを美しく見せる・・・という手法を用いてきました。
"天然のままで納品をお願いしたい"というご要望になかなかお応えできない理由はこんな石の特徴によるものです。
石の割れ目にそって楔を打って割っていきます。
”こぐち”から割り始め、”よこ”にも楔を打って割れ目を誘導していく手法です。
割れ目を誘導しても全てがいうことをきく訳ではないのでそれが難しいところです。
※割れ方が思わぬ方向にいくとその石が使い物にならなくなってしまうため、
ご依頼には時間的余裕が必要です。
水成岩の稲井石は熱に弱く表面が薄く割れるような症状が起きます。
ヒワレという”こぐち”と”よこ”に出やすい現象です。
強度に影響するものではありませんが、石によって現象が出やすいもの、出難いものもあります。
早ければ製作途中で出てくる場合もあります。
石を切断する時点でヒワレがない事を確認していますが、製作製作途中で出てくる場合もあります。
この症状も含めて稲井石なので利用されたい方はご了承ください。
切断した時点ではなかったヒワレが少し時間が経ち出てきた事例です。
ヒワレは必ずと言っていい程出てきます。
切断した時点で確認しますが、それでも時間が経つにつれてヒワレが起きてきます。
ある程度のヒワレはあるものと思って、了承頂くようになります。
石の中に含まれる鉄の成分が錆となって表れた事例です。
この症状がでてきたら確認できる範囲で取り除くようにしております。